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北九州市立大学

日本の卓越した文化力を
公共政策に活用し
地域の持続性を高める方法は
興味深くやりがいを感じる

法学部
政策科学科
田代 洋久 教授

田代 洋久 教授

研究の魅力

 人口減少、少子高齢化、東京一極集中によって地域格差が拡大する中、地域社会をどのようにして持続的に発展させるかは今日の根源的な政策課題ですが、政策手法の一つとして地域の文化的資源の活用や文化創造によって地域の魅力と付加価値を高める手法があります。これは、創造都市政策、文化まちづくり政策とも呼ばれますが、地域課題と結合することで多彩な展開が可能で、例えば、観光、まちづくり、福祉、産業分野での活用があります。
 経済性と社会性のバランスや政策のコンセンサスなど克服しなければならない課題は多いですが、学生時代に体感した日本の卓越した文化力を公共政策に活用し、地域の持続性を高める方法は大変興味深く、やりがいを感じています。

研究の源

 もともと旅行が趣味でしたが、名所旧跡めぐりを繰り返すうちに、訪れる場所の町並みや空間、自然環境、食、文化、人々の暮らしに関心を持つようになりました。地域の人たちと話をする機会が増え、こうした地域らしさが損なわれつつあることに衝撃を受けました。海外に行けばどの都市も町並み景観が美しく、その地域の文化を大切にしているのに、なぜ日本では文化的要素が蔑ろになっているのか、どうしたら豊かな地域社会を存続させることができるのかといった問いが次々と生まれ、こうした問題解決に、これまでの職務経験によって培われた知見が活かせるのではないかと思ったことがきっかけです。

研究の未来

 農山村などの中山間地域は、人口流出によっていち早く地域社会の存続の危機に見舞われてきましたが、地方都市まで広がりつつあります。こうした地域では「誇りの空洞化」(小田切)が進行し、住むこと自体の意義が問われています。私は、地域性と連関した「文化的資源の活用と創造」を地域社会の再生に向けたキー概念として捉え、実践的に役立つ政策研究をダイナミックに展開したいと考えています。

ゼミのイチオシ

 田代ゼミでは政策実践プロジェクトがイチオシです。これはゼミ活動の一環で地域に赴いてフィールドワークを行い、行政職員や地域の事業者、NPO等からレクチャーを受けて地域の現状と政策の実際を学ぶとともに政策研究を進め、成果として政策提案を行うプログラムです。これまで北九州市のほか大分県臼杵市、熊本県山鹿市でも実施し、さらに韓国の釜山大学との合同プロジェクトも実施しました。学生による政策提案は高く評価されています。

先生のイチオシ

講義科目等で学んだ知識を使って実際の地域課題にあてはめて考えるのは、新鮮な発見と議論を通した充実感、納得感を得ることができると思います。私自身、学生と一緒に地域のことを学べるのは大変楽しいですね。

オフショット

私は趣味と実益を兼ねた地域めぐり―特に温泉地めぐりが好きです。九州は自然、食、歴史、文化、温泉など豊かな資源と魅力にあふれたところですが、様々な地域を訪れ、ゆったりとした時間を過ごすことで、新たなアイデアが浮かぶこともあります。

Profile

田代教授
プロフィール

私は大阪生まれですが、大阪人というと話におもしろい「落ち」を期待されて、困っています(笑)。大学では工学を学びました。キャンパスは京都市内でしたので、授業をそこそこに社寺探訪をしたり、悠久の時を刻む歴史的景観、伝統文化を楽しみました。卒業後は光学機器メーカーで技術開発研究からスタートし、素材開発、物性評価などの仕事を行いました。その後、企業の事業戦略に興味を持ち、都銀系シンクタンクに移籍して経営戦略理論を駆使しながら企業経営を革新するコンサルティング実務に従事しましたが、次第に企業と社会の関係など公共領域の問題にも関心を持つようになりました。
転機は1995年に発生した阪神?淡路大震災です。公民協働など社会システムの再構築によって被災した都市の復興に貢献したい思いから兵庫県職員となりました。入庁後は震災復興政策、地域政策研究、政策統計分析、広報、地域産業政策など、主に政策畑の仕事を経験しましたが、その後、地域政策研究を本格的に行いたい思いから、兵庫県に在籍しながら政策系大学院で都市政策、創造都市の学位を取得し、県立大学等での講師経験を経て本学に着任しました。

田代教授イラスト

法学部Faculty of
Law

  • 法律学科 福本 忍 准教授
  • 法律学科 岡本 舞子 准教授
  • 法律学科 水野 陽一 准教授
  • 政策科学科 田代 洋久 教授
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